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“これがいい”から選びたい。木を使ったビクター新TWSイヤホンを聴く | マイナビニュース マイナビニュース マイナビ

ウッドドームカーボン振動板を採用した、ビクターの完全ワイヤレスイヤホン「HA-FW1000T」

今回取り上げるビクターの「HA-FW1000T」(2021年11月発売/実売約39,600円)は、そのTWSブームに割って入る勢いの新製品。木製の「ウッドドームカーボン振動板」、圧縮音源をハイレゾ相当に復元する「K2テクノロジー」、新開発「スパイラルドットProイヤーピース」といった高音質技術のほか、ハイブリッド方式のノイズキャンセリング(NC)技術を採用するなど、盛りだくさんの機能に注目が集まるところ。その実力のほどを検証します。

HA-FW1000Tのキモはなんといっても「音」。音質重視をうたうTWSイヤホンは少なからず存在しますが、そのほとんどが化学合成された振動板を採用しており、天然素材は皆無といっていい状態。そこにビクターは得意の木製振動板を投入、差別化を図ります。

その木製振動板とは、有線のフラグシップイヤホン「HA-FW10000」(2018年発売/実売約18万5,990円)と同じ技術で製造されたウッドドームカーボン振動板のこと。音の伝播速度と振動の減衰特性に優れるカバ材から、独自の薄膜加工技術により削り出した50μmのウッドドームに、カーボンコーティングしたPET振動板を組み合わせて強度を確保。中央部の強度を保ちながら外周部はしなやか、という口径11mmのダイナミックドライバーの確かさは、HA-FW10000で実証されているところです。

さっそく、手配しておいたシャープのAndroidスマートフォン「AQUOS R6」で試聴してみました。HA-FW1000Tは最新オーディオコーデック「Qualcomm aptX Adaptive」に対応、しかも96kHz/24bitまで再生可能。この仕様に対応する端末はまだ少なく、ベストな環境で試聴するにはAQUOS R6の力が必要というわけです。

ただし、どの再生アプリでも96kHz/24bit再生できるわけではなく、Android OSのオーディオレイヤーと96kHz/24bit以上のデータレートで通信可能なアプリを用意しなければなりません。AQUOS R6の場合、「ONKYO HF Player」などの定番アプリでは48kHz/16bitが上限になってしまうため、今回は「YouTube Music」アプリのローカルファイル再生を利用しています。

そのサウンドですが、おだやかさの中に緻密さと張りを持つ印象。低域から中高域まで解像度もしっかり、スネアアタックの収束もスピーディーで音の輪郭ににじみはありません。アコースティックギターのアルペジオはほどよく解れ、箱鳴りも適度に響きます。

基本的なサウンドキャラクターは有線イヤホンのHA-FW10000に通じる部分があり、特にベースやバスドラムといった低音域の楽器で顕著に感じられます。高域方向の微妙なリバーブやエコーもていねいに描写し、左右の広がりや奥行きといった音場表現には余裕があります。

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多くのJVC製品に搭載されている「K2テクノロジー」の効果も確認しました。K2テクノロジーとは、音源を圧縮処理する過程で失われた情報を補正し、原音に近づけるJVCケンウッド/ビクター独自の音質向上技術のことで、HA-FW1000TではそれをBluetoothオーディオに応用しています。

K2テクノロジーはデフォルトで有効になっており、その効果は気付きにくいものの、オフにすると曲がやや平坦な印象になります。aptX Adaptiveコーデックを利用しているときは無効化されるため、AAC接続となるiPhoneで有用な機能といえそうです。

付属のイヤーピース「スパイラルドットPro」も、音質を語るうえで重要なポイント。内側にいくつかのくぼみを設けることで反射音を拡散し、音のにごりを抑制します。イヤーピースをジャストフィットさせることが肝心なNC機能を意識したのか、S/MS/M/ML/Lの5サイズを同梱したことも、安心材料といえるでしょう。

TWSイヤホンのもうひとつのトレンドが「アクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)」です。大阪出張の折、新幹線・ひかり車内で、HA-FW1000TのNCの効きや音楽再生への影響、NCのオン/オフなど操作性を試してみました。

まずはTWSイヤホンとしての使用感から。装着センサーを備えているので、充電ケースから取り出しで耳に挿し込むだけで利用できます。片側/両側利用もチェックされ、音声通話やビデオ会議のときには片側だけ取り出せばOK。認識を知らせる電子音が味気ないけれど、いちどペアリングを済ませたあとの使い勝手は申し分ありません。

操作性/装着性も上々。操作はタッチセンサーで行うため、最初のうちは誤タッチを連発するかもしれませんが(右側をタッチしてヒアスルーモードにしてしまいがち)、すぐに慣れます。左側をダブルタップで音量ダウン、トリプルタップで音量アップという操作は少々難易度が高いものの、タップ後に押し続けることで微調整(ボリュームステップは100段階)できるのは大きなメリットです。

肝心のNCですが、新幹線の走行音は大幅に抑制されます。シャーッという高めの音はほぼ消え、ゴーッという低めの音も気にならないレベルにまで低下します。人間の声の帯域は敢えて残す設計なのか、周囲の人の話し声や車内アナウンスはある程度聞こえるものの、換気扇付近のような音が始終聞こえることはなくなります。

ただし、走行中に(停車中は止まる)ボッボッという低めの音がときどき聞こえ、特定の周波数帯の音は低減しきれず残っていました。音楽再生時はまったく気になりませんが、耳栓代わりに使うときには留意すべきでしょう。

完全ワイヤレスでノイキャン対応、しかもハイレゾ相当96kHz/24bitで再生可能なaptX Adaptiveに対応と、“最新トレンド全部入り”に近いスペックの「HA-FW1000T」。そこにビクターのフラグシップイヤホン・HA-FW10000と同じ技術で製造されたウッドドームカーボン振動板が備わるとくれば、いきおい期待も高まりますが、期待を裏切らない完成度であることは確かです。

特筆すべきは、やはりサウンド。木を利用しているから自然で柔らかみのある……といった先入観に訴えるものではなく、素材の特性を感じさせながらも低域のしっかり締めるべきところは締め、高域で伸ばすところは伸ばす、という基本に忠実なチューニングを感じさせるところが好印象でした。特にaptX Adaptive(48kHz/24bit再生時を含む)利用時は、低域の質感と空間表現に余裕が生まれ、ハイレゾ/ロスレス音源のメリットを実感できました。

一方、NCは効きがややマイルドです。自分の耳にジャストフィットするイヤーピースを選んだとしても、新幹線など電車で移動中は特徴的なノイズを感じるし、周囲の人間の話し声もあと数dBは低減してほしいところ。NCはイヤホンという製品にとっての必須要素となりつつあるだけに、メーカー/ブランドとしても独自の技術・ノウハウを確立していく時期に来ているのではないでしょうか。

されど、このサウンド。いちど96kHz/24bitのaptX Adaptiveを知ってしまうと、他のコーデックではロスレス/ハイレゾ音源が味気なくなることは確かです。「これでいい」というより「これがいい」、そう感じさせてくれるTWSイヤホンといえるでしょう。

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