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Amazon新Echo Buds、イヤになるほど高コスパな完全ワイヤレスイヤホン

今回は日本にも来るかな、と期待高まる完成度。

Amazonが米国でEcho Budsの第2弾を発売しました。第1弾は日本未発売なので新Echo Budsも来るのかわかりませんが、かなりのお買い得な内容のようです。先代でさすがにどうかと驚かれたmicroUSBのコネクタも、USB-Cにアップデートされました。米GizmodoのCaitlin McGarry記者によるレビューを、どうぞ!


AmazonがEcho Budsの第2弾を発表しました。2019年の初代よりさらに進化していて、ちょっとイラッとしてしまうくらいよい仕上がりです。

Amazonのハードウェアは今、あらゆるところに存在しています。Kindleは素晴らしいですがいまだにmicroUSBポートを使ってて、Echoのスマートディスプレイも便利ながらプライバシー的な怖さがあり、フィットネストラッカーは恐ろしくおせっかいで、初代Echo BudsもmicroUSB採用と時代遅れ、かつ音もよくありませんでした。なのでAlexa推しの第2世代Echo Budsを手にした私は、正直何を期待すべきかわかりませんでした。でも実際使って他のBluetoothイヤホンとも比べてみると、新Echo Budsは価格が魅力的すぎて、細かい問題があっても許せてしまいます。音質もかなり改善しました。

ただAlexaがどうなのかとか、好きか嫌いかとかは別の問題です。詳しくは、後ほど。

Amazon Echo Buds(第2世代)

これは何?:Amazonの第2弾となるBluetoothイヤホン、今回はノイキャン入り。

価格:標準のケースだと120ドル(約1万3000円)、ワイヤレス充電ケースだと140ドル(約1万5000円)。

好きなところ:十分な音質とノイキャン、フィットが快適、主張を抑えたデザイン、Alexaは売り文句通り動く、価格は並ぶものなし 。

好きじゃないところ:2つ以上のデバイスと同時にペアリングできない、Sidetoneや「Echo Budsを探す」といった高度な機能が意図した通り動かない 。

デザインは退屈、でも無問題

Echo Budsの外観はほとんど何の個性もなく、ロゴもないように見えるんですが、イヤピースをよーく見るとAmazonのスマイルロゴが入ってます。Amazonロゴを積極的に耳に付けたい人はほぼ皆無だと思いますが、黒背景に黒ロゴなのでほとんど見えません。充電ケースにもスマイルロゴが入ってますが、それも底面なので全然目立たちません。ただEcho Budsには白バージョンもあって、私は実物を見てないんですが、写真で見る限りもう少しロゴが目立ちそうです。

Echo Budsにはシリコンのイヤーチップが4つ付いていて、どれがどれとペアかわかるように、親切に色分けされてます。ウィングも2サイズ付属してますが、イヤピースへの着脱がすごく難しいし、イヤピースを充電ケースの正しい位置にくっつけるための磁石の邪魔にもなります。私はこのウィングのフィットがおかしいせいで、Echo Budsの左イヤピースのバッテリーが100%から11%に激減したので、ウィング使うのをやめました。どっちにしろ、ウィングがあってもフィットはあまり改善しませんでしたし。ウィングなしでもしっかり密閉されていて、かつ空気も通るので、数時間着けていても気持ち悪くはありませんでした。

Amazon新Echo Buds、イヤになるほど高コスパな完全ワイヤレスイヤホン

イヤピースはタッチ操作が可能で、1タップまたは2タップ・3タップで音楽再生をコントロールできます。長押しのジェスチャーは、左か右のイヤピースの音量を操作するようにカスタマイズ可能です。ただこのカスタマイズをすると、長押しでのノイキャンや外音取り込みのコントロールができなくなるので、私はカスタマイズしませんでした。

高音質に驚き

今回大きく変わったのは、第1世代がノイズリダクションだったのに対し、第2世代はアクティブノイズキャンセリングが追加されたことです。そしてきちんと機能しています。

Echo Budsが街の騒音をどれくらい遮断でき、必要なときはどれくらい取り込めるのかを試すべく、私はハリウッドの中心部で3マイルほどランニングしてみたんですが、ノイキャンはたしかに優秀でした。ノイキャンのオンオフは左右どちらかのイヤホンの長押しか、Alexaに頼むかで可能です。外音取り込みもまずまずでしたが、他のノイキャンイヤホンと比べると外の音があまり聞こえませんでした。ちなみにEcho Budsの防水性能はIPX4でスウェットプルーフですが、水に沈められるような完全ウォータープルーフではないです。

外音取り込み機能のひとつは音声通話に特化した「Sidetone」で、Alexaアプリ上で設定を有効にすると、自分の声がよりクリアに聞こえるようになります。ただ使ってみるとバギーで、オンにしても自分の声はオフのときとあまり変わらず、そうこうしてるうちに使えなくなってしまいました。違いは自分側では気がつくほど大きくなかったんですが、私の母にSidetoneオンで電話していたとき、私の髪がイヤホンをかする音が強すぎて、「レタスを刻んでる音がする」と言われました。Sidetoneをオフにすれば、髪が触れても問題ありませんでした。

新Echo Budsのドライバーは5.7mm、マイクは3カ所で、ふたつは外側のビームフォーミングのもの、ひとつは内部にあります。音質はよいんですが、もっと高価なAirPods ProとかJabra Elite 85tに比べると、そこまでリッチだとか没入感がある感じじゃありません。でもそれに気づいたのは、全部のデバイスで同じ曲を続けて聴き比べていたからです。EDMからクラシックロック、そしてFiona Appleとかいくつかの音楽ジャンルで試してみました。全体的にEcho Budsの音はバランスが取れてるし、Alexaアプリでイコライザーを調整できるので、低音も好きなだけ増強できます。

バッテリーはイマイチ

新Echo Budsには2バージョンあり、ひとつは120ドル(約1万3000円)、こちらはUSB-C充電のものです。より高価な140ドル(約1万5000円)バージョンはUSB-Cも使えますが、Qi規格でのワイヤレス充電が可能です。Appleのワイヤレス充電ケース付き第2世代AirPodsは199ドル(日本価格2万5080円)で、ノイキャンもないので、それと比べるとEcho Budsはほんとにお買い得です。

充電にかかる時間は、有線でも無線でもとくに速くはありません。といっても、ケースの充電はUSB-Cでもワイヤレスでも30分で30%、イヤホンのほうはケースに入れて15分で2時間分充電できるので助かります。Amazonいわく、イヤホンはフル充電1回で通話に4時間使えて、さらに充電ケースにはANCとAlexaオンでも8時間分が入ってるそうです。生活の中で実際試したところ、音楽やポッドキャストを聞いたり、ランニングしたり、電話したりで使いながら、2〜3日持つ感じでした。

バッテリーライフはノイキャンとAlexaをオフにすると長持ちし、イヤホンは6.5時間、ケース分込みだと19.5時間使えます。これはAirPods Proと同等ですが、AirPods Proの価格はEcho Budsの標準モデルより約130ドル(約1万4000円)高い、というか倍以上です。でも個人的には、ノイキャンありでも25時間持つJabra Elite 85tがオススメです(Jabra Elite 85tは230ドル・日本価格2万9480円ですが、それでもいいと思います)。

Alexaのいいとこと悪いとこ、そしてプライバシー問題

Amazonのイヤホンを買う人なら、企業としてのAmazonは別に嫌いじゃないでしょうね。というか、家にいくつかAlexaデバイスがあるかもしれませんが、これまで何回かお伝えしてきたように、Alexaはプライバシー的には地雷原といえます。Amazonにはどうしてもそんな評価が付きまとうし、それには十分な根拠もあるんです。なので私個人的にはAlexaを手放しで使いたくないんですが、AmazonはこのEcho BudsをAlexaなしでも、または必要最低限だけでも使える仕様にしました。

ただしEcho Budsの設定のとき、EQ調節とかタップ操作のカスタマイズといった機能を使うにはAlexaアプリを使う必要があります。でも単にデフォルト設定でイヤホンとして使うだけなら、一般的なBluetoothの設定でペアリングできて、Alexaアプリは不要です。Alexaを立ち上げつつ必要に応じてミュートする方法もいくつかあり、そうすれば周りの音を常にマイクに拾われてクラウドに送られる心配もありません。まずAlexaが機能するには、スマホのAlexaアプリは常にバックグラウンドで開いて動いている必要があり、Alexaが有効になるには、Echo Budsが耳に入っている必要があります。なのでイヤホンがケースに入ってるときやテーブルやそのへんに置いてあるときは、Alexaは周りの音を聞いてません。イヤホンは使いたいけどAlexaはミュートしたいときは、アプリで操作するか、ジェスチャー(イヤホンを長押し)をカスタマイズするかで設定できます。Alexaがウェイクワードを認識するとトーン音が聞こえますが、物理的にわかるものはありません。

とはいえ、Alexaに自分のすべてを知られても何の不安もない人は、イヤホンにAlexaが入ってるのは便利でしかないことでしょう。

私自身はAmazonのEcho生態系を自宅で使ってないので、Alexaのウェイクワードへの反応の早さにはむしろ戸惑うくらいです。Echo Budsで音楽か何かを聴いているときでも、Alexaは私の声を聞いて反応してきます。たとえば夕食を作りながらポッドキャストを聞いているときにAlexaでタイマーをセットしたんですが、私がコマンドを言う間にポッドキャストの音量がちょっと小さくなっただけで、Alexaは音楽を遮ることもなく、そっとタイマーをセットしてくれる気の利きようです。その点Siriは音楽聞いてるときでもいちいちタイマー設定を報告してくるのが鈍くさい、というかそういう個別の問題じゃなく、Siriの存在自体が夕陽の彼方に置き去られた悲しい馬みたいになってますよね…。

Alexaの標準的なスキルはアプリで全部設定でき、声で頼んで音楽をかけたり、Audibleのオーディオブックを聞いたり、To Doリストにリマインダーを追加したり、電話をかけたりといったことはEcho Budsからもちゃんとできます。反応は素早く操作は簡単で、私の場合とくに家の中で動き回ってるときとか、外でウォーキングしてるときに便利でした(今どき外ではマスクしてるので、ひとりでブツブツ言ってても誰にも気づかれませんし)。Alexa Transitという機能では、ニューヨークやサンフランシスコ、シカゴといった主要都市の公共交通機関の経路検索ができ、乗ろうとしてる電車やバスの運行状況も通知してくれます。私が住んでるロサンゼルスではまだ使えないんですが、イヤホンで乗り換え検索ができるのはなかなかクールですね。

私がEcho BudsでAlexaを使うのは、タイマーをセットしたり天気予報を聞いたり音楽をかけてもらったりといった単純なことでした。つまり多くの人がEchoスピーカーでやってるようなことを、家でも出先でもできるということです。スマートホームをAlexa系で固めてる人なら、Echo Budsはさらに便利だと思います。

好きじゃないところ

Echo Budsはコストパフォーマンスはいいんですが、完ぺきじゃありません。高度な機能がウリ文句ほど動かないことがあり、ひとつ大事なものも抜けてます。

ちょうどAppleのAirTagローンチの直後というこのタイミングで、AlexaアプリにもEcho Budsを探す機能があったので驚きました。でも、このAlexa版「Find My(探す)」機能は、AirTagほど高度じゃありません。私はイヤホンを片方だけなくしたことはないんですが、イヤホンを入れたケースはしょっちゅう見失ってます。そして、Echo Budsの充電ケースが開いてない限り、音は鳴りません(音を出すのはイヤホンであって、ケースじゃないので)。なので控えめに言っても、役に立ちません。イヤホンケースを開けた状態のままなくすことって、あんまりないですよね。

あとは上に書いたように、Sidetoneがバギーなのと、バッテリーライフの問題があります。

でも最大の問題は、私がBluetoothイヤホンに不可欠だと思う機能、複数デバイスへの同時接続ができないことです。Echo Budsが一度につなげるのは1デバイスのみなので、スマホからパソコンへ、その逆へとシームレスに切り替えられません。私みたいにこの機能が大事だと思う人は、もう少しお金を出して、複数デバイスにつなげられるノイキャンイヤホンを買うことをお勧めします。私のイチオシはJabra Elite 85t(またはElite Active 75t、こちらはソフトウェアベースのノイキャンで、非常に有能)です。AppleのAirPods ProもiPhoneとMacBookを使ってる人にはすごくいいのですが、個人的にはフィット感が好きじゃなくて、残念。

Echo Budsを買うべき人は?

Echo Budsのテストを始めたときは、私みたいにAlexaに懐疑的だったり、使いたくなかったりする人には向かないのかな? と思ってました。でも使ってみると、そんなAlexa不信な人でも大丈夫だし、とくに価格を考えれば全然OKです。120ドルで、音質十分でノイキャンも優秀、フィット感もよいイヤホンが手に入るんです。20ドル追加すればワイヤレス充電ケースも付いてきます。もちろん欠点もあって、バッテリーライフが短めとか、複数デバイス間の切り替えが面倒とかはありますが、全体的には自分でも驚くほど快適に使えました。だからってAlexaをフルに使ってもいいと思うほど好きじゃないんですが、幸いなのはやっぱり、Alexaを使わなくてもEcho Budsは使えるってことです。

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