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ライカ初のスマホ「Leitz Phone 1」。その外観から読み取る“ライカらしさ”とは

ライカカメラジャパンとソフトバンクは6月17日、ライカカメラ社が全面監修したAndroidスマートフォン「Leitz Phone 1」を7月以降に発売すると発表した。ソフトバンクショップでの端末販売価格は税込18万7,920円。

同日、Leitz Phone 1の実機を手にする機会を得たため、本稿ではその外観写真をお届けする。なお、現時点ではカメラ機能がまだ開発中のため、ライカ流デザインだというカメラアプリのUIや画質を確認することは叶わなかった。ここでは外観から読み取れる“ライカらしさ”について、実機写真から考えてみたい。

最新のライカカメラを想起させる、アルミ削り出しボディ

Leitz Phone 1の筐体はアルミ削り出し。その前後をガラスで挟むという構造になっている。ノートパソコンなどではよく見かけるようになった切削加工だが、カメラボディでの採用例は少ない。筆者の知る限り、ライカが2014年に発売した「ライカT」が、アルミ削り出しの“ユニボディ”を謳った最初のデジタルカメラだ。現行製品では「ライカTL2」に受け継がれている。

参考:タッチ&トライ会場に置かれていた「ライカTL2」

Leitz Phone 1は、こうしたボディの作り方や、後述するデザイン要素の削ぎ落とし方がライカTL2の世界観に通じている。そのためベテランのカメラファンがイメージする(バルナックライカやM型ライカのような)“ライカらしさ”とは距離があるかもしれないが、これも現在のライカにおいては自然な“ライカらしさ”の一つであることは確かだ。

本体側面のローレット

そのシンプルな外観で特徴的なのが、両サイドに施されたローレットだ。Leitz Phone 1を手にすると、切削加工ならではの精緻な感触が、手の中で存在感を示す。カメラらしいモチーフと、ローレット本来の目的である滑り止めの機能が融合したデザインだ。

参考:ライカの交換レンズのローレット

Leitz Phone 1のデザインを担当したライカカメラ社デザイン部門のヘッドを勤めるマーク・シェパード氏は、もともとフォルクスワーゲングループのデザインチームとして、ワルター・デ・シルヴァ氏(VWゴルフ6/7のデザインなどを担当)と共に「ライカM9チタン」(2010年発表の限定モデル)のデザインに関わっている。カーデザインを経てカメラのデザインを担当するという経歴は興味深い。

マーク・シェパード氏。6月17日のオンライン発表会より

ライカ初のスマホ「Leitz Phone 1」。その外観から読み取る“ライカらしさ”とは

ライカデザインの奥深さは、過去にシェパード氏が語った言葉に垣間見られる。2017年に登場したライカM10についてインタビューした際、氏は「(アイコニックで伝統のある)M型ライカをデザインする上では、デザインしたと感じさせないことが大事」と筆者に語った。真に優秀なデザイナーは、その仕事の痕跡を残さないことすらできるということだ。ライカが自ら“控えめな”と表現するデザインは、こうしたデザイナーの“余計なことをしない勇気”とでも表現できそうな美学が支えているに違いない。

画面内に指紋センサーを備える。ディスプレイは6.6型のPro IGZO OLED背面にはFelicaマーク。おサイフケータイに対応する。上部と底部。本体サイズは約74×162×9.5mm。重量は約212g。光の角度によってはほとんど見えないが、ズミクロンの名前が記されている。シングルカメラ構成で、周囲にフラッシュとToFセンサーが備わる。

デザインと電波のせめぎ合い

Leitz Phone 1を製造するシャープも、ライカの厳しい要求に応えるべく、かなりの苦労をしたと伺える。スマートフォンの外周を囲む金属部分はアンテナの機能を持っており、それは樹脂パーツでいくつかに分割することで電波干渉を防いでいる。Leitz Phone 1の側面にも、ローレットデザインの中に灰色の樹脂パーツが見える。

一見、何でもないことのようだが、実はこの樹脂パーツをローレットのピッチに合わせて狭くしたそうだ。通信の安定性を考えればもっと幅広のパーツにしたいところだが、ここでもライカはデザインの手を緩めなかったらしく、シャープの開発陣はかなり技術的に“攻めた”のだという。

クラシックな所作の「かぶせ式レンズキャップ」

もうひとつ、カメラらしい所作を楽しめるポイントが、同梱のアルミ製レンズキャップだ。通常、スマートフォンはいかにカメラ部分が出っ張らないようにするかを考えるが、ライカは大胆にも「レンズキャップを用意する」というアイデアを盛り込んだ。

「Leica」と刻印されたLeitz Phone 1のレンズキャップは、1960年代以前のライカレンズのそれを連想するような造形。違うのは、マグネットで固定されるようになっている点だ。本体側とキャップ側のそれぞれに磁石を埋め込むことで、Leicaの文字がナナメになった状態では取り付けられないようになっている。

取り外し時は、キャップの切り欠きがある部分を指で押すことで反対側を跳ね上げ、反対の手で掴むという仕組みのようだ。筆者が試したところ、キャップ自体を掴んで左右どちらかに少し回転させると、磁石の反発でキャップが浮き上がるように外せたため、実用上はそうしたやり方もアリかもしれない。

レンズキャップの裏側。一部に切り欠きがある切り欠きの部分を押すと、キャップが跳ね上がる

シャープとしてはこのキャップに脱落防止のロック機構を付けたかったそうだが、それもライカのシンプルさが許さなかったという。なお、このキャップを紛失した場合に単品で購入できるのか、そしてその価格がいくらなのかは、まだ不明だ。

シリコーン製のソフトケースも同梱されるお馴染みの質感のライカバッジが付いている

LFIギャラリーのウィジェット

ライカに縁の深い「LFI」という、ライカと写真がテーマの冊子がある。Leitz Phone 1には、そのLFIが運営するWebギャラリーのウィジェットがプリインストールされている。設定画面も用意されており、キュレーションされた写真を表示したり、好みのカテゴリを選ぶといったカスタマイズが可能。ライカがカメラのみを監修した「AQUOS R6」にはない機能で、これも写真文化活動に積極的なライカらしい要素と言える。

ホーム画面に表示されるLFIウィジェットLFIウィジェットの設定画面キュレーターにより選出された作品を表示できる

安珠さんの作品で画質ポテンシャルを探る

今回のタッチ&トライでは、未完成というカメラ機能を試せなかった。その代わり、会場には写真家の安珠さんが撮影した作品が展示され、有効2,020万画素の1型センサー&7枚構成の19mm相当F1.9ズミクロンレンズ&Leitz Phone 1独自のライカ流という画作りによる、本機のポテンシャルを伝えていた。

©Anju明部のグラデーションに、スマートフォンとしては大きな1型センサーの余裕を感じさせる©Anju撮影モード「Leitz Looks」では、“ライカを体現する美しいモノクロ撮影”も楽しめるとしている参考:上の作品の中央部分(左)と右上部分(右)カメラアプリのアイコンは存在したが、タップすると「COMING SOON」の文字。試作機ならではの要素として撮影した。

なおLeitz Phone 1は、全国のライカストアで店頭デモを実施予定だという(開始時期は未定)。オンライン発表会で示されたスライドには、ライカ銀座店および同店2階のライカプロフェッショナルストア東京、ライカGINZA SIX、ライカ京都店の写真があった。

本誌:鈴木誠
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