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ニュース DeNAが個人サイトから無断転載「あってはならないこと」 WELQ事件の反省は生かされてない?

DeNAウェブサイト(2021年11月8日スクリーンショット|https://dena.com/jp/)

ニュース DeNAが個人サイトから無断転載「あってはならないこと」 WELQ事件の反省は生かされてない?

DeNAが運営するクラウド型サービス「Coopel」のサイトでこのほど、外部サイトからの無断転載が発覚した。被害者が指摘したところ、DeNA側は「参考に作成した」ことを認め、該当部分を削除した。「作成者の理解・認識不足により、コンテンツのチェックプロセスを経ずに公開」されていたとしている。【画像】被害サイトとDeNAサイトの比較DeNAをめぐっては、2016年に運営していた複数のキュレーションサイトで、不正確な情報や他サイトからのコピペ、リライトが問題になった。弁護士ドットコムニュースの取材に対し、DeNA側は「企業としてあってはならないことであったと深く反省し、今後、第三者のコンテンツの利用に関する社内教育・チェック体制を更に強化し、再発防止の対応をしてまいります」と回答した。被害にあったのは、むらしゅん(@murashun)さん。「正規表現」の一覧表を自身のサイトに掲載したところ、具体例の一部文言を「Coopel」に置き換えただけで、ほぼそのまま転載されたという。Googleで自身のページ順位を確認するため「正規表現」と検索した際に発見したそうだ。●正規表現の「一覧表」に著作権はあるか?正規表現そのものは単なる表記法に過ぎない。だが、個別には著作権で保護されなくても、「まとめ方」によっては権利が発生することがある。著作権にくわしい冨宅恵弁護士は次のように話す。「個々の素材が著作権によって保護されないものであったとしても、その素材の選択または配列のいずれかに創作性が認められる場合、編集の著作物として著作権によって保護されます。ですから、表の構成(配列)が従前から存在するものであったとしても素材の選択に創作性が認められれば著作権によって保護されますし、素材の選択に創作性が認められない場合であっても、表の構成(配列)に創作性が認められれば著作権によって保護されることになります。注意が必要なのが、素材の選択や配列に、どの程度の労力を費やしたかということは考慮されず、単純に従前のものと比較して創作性が認められるか否かによって判断されるという点です」(冨宅弁護士)●今回のケースに当てはめると?ただ、今回のケースでは、基本的な正規表現をまとめたという性質もあり、一定の工夫はあっても、法的には創作性があるとまでは言い難いようだ。「今回問題となった『基本的な正規表現』は、『正規表現』、『正規表現の説明』、『正規表現の例』、『マッチする例』を一覧表形式で整理されたもので、これらの項目に記載された、それぞれの記載は、単なるルールや検索される表現が示されているだけであり、説明についても極めて短い表現であり、作者の創作性が入り込む余地がありません。ですから、素材そのものが著作権によって保護されることはありません。そこで、編集の著作物として保護されるか検討することになるのですが、素材である『正規表現』の選択については、一覧表の作成目的が基本的な正規表現を紹介するというところにあることもあり、他の正規表現を紹介する整理表に採用されているものと同様で、作者の創作性を認めることは困難であると思います。また、素材の整理の仕方も他の整理表と類似しており、今回問題となった表の配列に創作性を認めることも困難であると思います。この結果、今回問題となった『基本的な正規表現』が著作権によって保護されることはないと考えています」(冨宅弁護士)●倫理上の問題はあるむらしゅんさんも権利を主張しているわけではなく、DeNA側に何らかの要求をしているものでもない。ただ、企業が個人サイトの記述をコピペしているとしたら、仮に著作権上はセーフでも、倫理的には問題がある。当事者が抗議するのも当然だろう。「DeNAは過去にWELQの事件を起こしていますが、再発防止が十分に機能していないのだと感じました。是正処置、再発防止などはもちろん、コンテンツをコピーしないで済む厳格なルールや仕組み作り、DeNA関係者のリテラシーの向上を望みます」(むらしゅんさん)【取材協力弁護士】冨宅 恵(ふけ・めぐむ)弁護士大阪工業大学知的財産研究科客員教授。多くの知的財産侵害事件に携わり、プロダクトデザインの保護に関する著書を執筆している。さらに、遺産相続支援、交通事故、医療過誤等についても携わる。「金魚電話ボックス」事件(著作権侵害訴訟)において美術作家側代理人として大阪高裁で逆転勝訴判決を得る。事務所名:スター綜合法律事務所事務所URL:http://www.star-law.jp/

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:弁護士ドットコムニュース
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