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開放型ワイヤレスヘッドホンに感じる「新鮮さ」。ビートメイカー・STUTSに「これからのライブ」を訊いた

コロナ以降、もっとも変化したカルチャーが「ライブ」かも。

人が集まることがネガティブな行動とされたコロナ禍において、数多くのライブやフェス、クラブイベントが中止となりました。

しかし、そんな苦境に対する一つの答えとして「オンラインライブ」が盛んに開催されるようになりました。段階的に観客を入れたリアルライブが復活してきている今も、オンライン同時配信はもはや珍しいものではなくなっています。

そして、そんなおうちでのライブ体験をより楽しむために、自宅のオーディオ環境を見直している方も少なくないでしょう。オーディオテクニカによる開放型ワイヤレスヘッドホン「ATH-HL7BT」もそんなトレンドに対応した製品のひとつです。

ライブパフォーマンスをきっかけにブレイクし、数多くのフェスに出演しているミュージシャンであるSTUTSさんにライブへの想いや、オンラインライブの楽しみ方、そして「ATH-HL7BT」を使った感想をお聞きしました。

STUTS

1989年生まれのトラックメイカー、MPCプレイヤー。自身の作品制作やライブと並行して、数多くのプロデュース、コラボレーションやTV・CMへの楽曲提供など行い、近年は星野源との共演で「第69回NHK紅白歌合戦」に出演したほか、STUTS & 松たか子 with 3exes名義でカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」主題歌「Presence」をリリースするなど、その活躍の場をさらに広げている。

ミュージシャンSTUTSを作り上げた「ライブの魅力」

──STUTSさんの名前が広く知られることになったきっかけの一つが、NYハーレムでの路上ライブ映像です。多くのビートメイカーは“裏方”としてラッパーやシンガーにビートを提供しているイメージがありますが、STUTSさんが自らライブ活動を始めたきっかけとは?

STUTS:もともとはトラックを作りつつ、DJ としてクラブに出演していたんです。でも、DJで他の人の曲をかけているうちに「自分の曲をもっと聴いてもらいたい」と思うようになったんです。最初は自分個人のライブをするというよりも、クラブでラッパーやダンサーさんと一緒にセッションすることから始めました。

──いわゆるビートメイカー/トラックメイカーのライブには、PC上でアレンジするパターンや、鍵盤を弾くパターンなど、いろんな種類があります。STUTSさんがMPC(ヒップホップで古くから使われているパッド付きサンプラー)を叩くスタイルを選んだ理由は?

STUTS:当初はトラックメイカーが一般的にどうやってライブしているのか知らなかったんです。でもHIFANAさんがMPCを叩いてパフォーマンスしているのを観て、自分が音楽制作に使っているMPCでもライブができることを知ってそれでライブをやってみようと思いました。

──HIFANAのほかに印象に残っているライブ体験はありますか?

STUTS:カリーム・リギンスが渋谷VISIONで演奏した2014年のライブですね。彼はドラマーでありながらビートメイクも行なうミュージシャンなんですけど、ライブでは自分が作ったビートのドラム部分を抜いて、かわりに自分で生ドラムを叩いていたんです。それを観て「こういう方法もあるんだな」と思って影響を受けました。

というのも、それまでは、リアルタイムで全部の音をパッドで叩いて出す、MPCだけで完結するスタイルに縛られていたんです。でも、それだとできることに制限が出てくるんですよね、だから、ドラム部分やSEなどを自分で演奏して、それ以外はMPCとは別のサンプラーで流すスタイルでライブするようになりました。

──自分で行うライブも、他人のライブを観る体験も含め、ライブの醍醐味とはなんだと思いますか?

STUTS:その場所、その時にしか生まれない、空気感やグルーヴですね。もちろんミュージシャン自身のグルーヴもあるんですけど、それにお客さんが反応して生まれるグルーヴも含めた、総合的なコミュニケーションです。やっぱりライブの魅力って、そういう“生”の感覚による部分が大きいんじゃないかと思います。

オンラインにはオンラインの「ライブ感」がある

──ライブの魅力を語っていただきましたが、コロナ以降従来のやり方でのライブが難しくなったことから、オンラインライブが急増しました。STUTSさんもオンラインでライブをされていますが、やはり感覚は違いますか?

STUTS:不思議なことにオンラインはオンラインのライブ感があるんですよね。去年、自宅から生配信ライブをやらせてもらったんですけど、普通にライブをやっている感じがあって。画面にお客さんのコメントが流れるオンラインライブもありますが、コメントが表示されないライブでもライブ感があるんです。

──コメントがなくてもライブ感があるんですか?

STUTS:はい。「今、これ配信されているんだな」という意識があるせいかもしれないですね。そして、配信ライブでも、生のライブでも、自分がやっていること自体は変わらないからかもしれません。もちろん総合的にはオンラインと生ライブは違うと思いますが、オンラインにはオンラインの良さがあると感じてます。

──他のミュージシャンのオンラインライブは観ましたか?

STUTS:そんなに熱狂的に観ていたわけじゃないんですけど、ちょこちょこ観ていました。北里彰久さん(Alfred Beach Sandal)が自宅で弾き語りのインスタライブをやっていて、それをスマートフォンの縦長の画面で観ていたら、なんか不思議な気持ちになってすごく印象に残っていますね。

あとはゲーム『フォートナイト』で開催された、ラッパーのトラヴィス・スコットのイベントも、本人がパフォーマンスしているわけじゃないのに、すごくライブ感覚ありましたね(編注:ゲーム内に特設フィールドを作り、3Dモデリングされた巨大トラヴィスがパフォーマンスを行なった)。他のプレイヤーと一緒に参加するかたちだったので、それぞれ楽しんでいる様子が見られたのも大きかったのかもしれないです。

そしてこれもオンラインライブとはちょっと違うんですけど、最近アメリカのフェス〈ローリング・ラウド〉がYouTubeに当日の模様をアップしていて、それを観るのも楽しかったです。行くことのできない海外のフェスの様子をオンラインで楽しめて、「ラッパーさんごとにこんなにライブのやり方が違うんだ」って発見もできましたし。

──ライブの醍醐味のひとつが臨場感ある大音響のサウンドですが、オンラインライブ含め、STUTSさんは普段どんな環境で音楽を聴いていますか?

STUTS:外を歩いている時はイヤホンを、家では制作に使っているモニタースピーカーやモニター用のヘッドホンを使っています。あとは車を運転しながらカーステで音楽を聴くのも楽しいですね。

基本はスピーカーを通して聴くんですけど、細かい音をチェックしたいときはヘッドホンを使うことが多いです。スピーカーで聴いていて気になったものをヘッドホンで聴くみたいな感じですね。あと、ずっと気になってた作品とか楽しみにしていたアルバムを最初に聴くときは、ヘッドホンを使って聴くことが多いですね。

──正座をして聴くような感じで(笑)。

STUTS:はい(笑)。住環境的にいつでもモニタースピーカーで音量を出せるわけでもないですし、ヘッドホンは重宝しています。

開放型ワイヤレスヘッドホンに感じる「新鮮さ」。ビートメイカー・STUTSに「これからのライブ」を訊いた

ヘッドホンとスピーカーの中間のような感覚が新鮮な「ATH-HL7BT」

オンラインライブが当たり前になった今だからこそ、見えてきた課題があります。それはライブ会場だからこそ実現できた音響体験を、リスナー個人が再現しなければならないということ。

そこで注目が集まっているのが「家でライブのような体験を楽しむためのプロダクト」としてのヘッドホンです。近年のヘッドホン/イヤホンブームがそれを物語っているのはいうまでもないでしょう。

今回STUTSさんには、そんな現代にフィットした開放型×ワイヤレス×立体音響という、ありそうでなかった新型ヘッドホンであるオーディオテクニカ「ATH-HL7BT(以下、HL7BT)」を試用してもらいました。

──今回オーディオテクニカのヘッドホン「HL7BT」を使っていただきましたが、率直にどう感じましたか?

STUTS:とにかく新鮮な感じがします。僕はこれまで開放型のヘッドホンをちゃんと使ったことがなかったんですけど、耳を圧迫されてる感じがなくて、スピーカーで音楽聴いている感覚に近いなと思いました。そして本体がすごく軽くて付け心地も良いし、ワイヤレスで自由に動き回れるから、つけているのを忘れるくらいの感じでした。

あとはオンライン会議にも良さそうですね。去年からリモート取材を受けることも増えましたし、コラボ相手とオンラインで話す機会も増えたんですけど、これまでスマートホンやPCの内蔵スピーカーを使っていたんです。でも、この「HL7BT」は開放型だから自分の声もよく聞こえて、すごく話しやすく感じました。そしてやっぱり軽いので、自然な感じでオンライン会議ができていいですね。

──サウンドはいかがですか?

STUTS:楽器の位置が見えやすい、定位がハッキリしたヘッドホンだと思いました。ステレオの定位が細かく分かれている感じが伝わってきて、ライブを観ている感覚に近いと感じましたね。そして低域もしっかりモニターできるレベルで出ているのと、それでいて全体のバランスが良いですね。さっきから何度も言ってるんですけど、やっぱり軽いので(笑)、しっかり音楽を楽しみつつも聴き疲れしなさそうです。

──いや本当に軽いですよね(笑)。ちなみに、こうした音響機器のサウンドチェックするときに使う曲はありますか?

STUTS:聴き慣れた曲をいくつか再生してみますね。今回はマリーナ・ショウの『Feel Like Making Love』を聴きました。70年代の録音なんですけど、ビートがしっかり鳴っていて楽器のステレオ感も好きで、色んな環境で聴き慣れている曲なので。

──今回「HL7BT」で自分の曲は…

STUTS:聴きました(笑)。『Presence』を聴いたんですけど、やっぱり低域がちゃんと出ているし、全体のバランスも良く鳴っていると感じました。

STUTS:僕は自分の音楽を聴いてもらえたらどんな環境でもうれしいし、スマホのスピーカーにはその良さがあって好きなんです。でも、やっぱりこういう良いヘッドホンやイヤホンを使ってもらうと、自分が表現したかった低域もしっかり聴こえるので、そういう環境で聴いてもらえたらうれしいですね。自分が曲を作るときも、細かいバランスを調整したりノイズチェックしたりするときは、ヘッドホンで作業しているので。

──「HL7BT」は立体音響技術「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」にも対応していますが、体験していかがでしたか?

STUTS:音楽が頭の中じゃなくもっと外側で鳴る感じがして、新鮮です。ライブ感ある音像なので、とくにライブ音源に良いと思います。ライブ会場で音楽を聴くときって、ステージ横のスピーカーだけじゃなく、いろんな方向からの反響があると思うんですけど、それが再現できているので臨場感ある体験になりそうです。

──ミュージシャンとしても立体音響に可能性は感じますか?

STUTS:ミュージシャンとして自分の作品で扱うイメージはまだ完全にはできていませんが、可能性は感じますね。自分は元々トラックメイカーだから、ステレオフォーマットでの作品作りという感覚が強いんですけど、バンドの人たちみたいに生演奏のライブ感を再現したいミュージシャンの場合、立体音響の方がリアルな表現ができる気がします。自分もライブの再現みたいな音楽を作りたいと思った時は立体音響を使ってみたらいいのかもと思いました。

──また「HL7BT」は有線接続を使うことでハイレゾ音源にも対応しています。普段ハイレゾは聴きますか?

STUTS:データ量の問題もあるので、自分から意識してハイレゾを選んで聴くことはないんですけど、こうしたハイレゾ対応製品が増えるのはミュージシャンとしてすごくうれしいです。最近はストリーミングもハイレゾ対応が増えていますし、マスタリングしたデータを圧縮しないで手軽に聴いてもらえるとても良い時代だと思います。

人の感覚やアイディアを「最大化」するテクノロジーが欲しい

──最後に“音楽とテクノロジー”について伺えればと思いますが「こんな機材やソフトが欲しい」という願望はありますか?

STUTS:僕はあまりテクノロジーに寄ったミュージシャンではないので、テクノロジーで新しく何かができるようになるというよりは、インターフェースがさらに確実性のあるものになったらいいと思っています。ハードの機材を使っていると、たまに接続がうまく繋がらないことがあったりするんですよね。そういう安定性の向上や、レイテンシーが極限までなくなってくれたらと思います。普段使いでエラーが出なくても、1ヶ月に1回繋がらないことがあったりすると、それだけでテンション下がっちゃうので。

──テクノロジーに魔法のようなものは求めていないんですね。

STUTS:自分が最初にMPCを買った2005年には、すでにMPCは時代錯誤的なテクノロジーでしたし(笑)。

──たしかに(笑)。

STUTS:とはいえ、普段ミックス作業などで使っているプラグインには、AIがちょうどいい帯域を削ったり持ち上げたりしてくれるものもあって、やっぱり便利なんですけどね。でも、自分はミュージシャンとしてテクノロジーファーストになりたくないと思っています。というのも、そうした最新技術も使うのは結局人間だと思うので、人の感覚やアイディアを最大限エンハンスするためにテクノロジーを使えたらいいなと思っているんです。

そんな考えもあって、自分が音楽を作る時にはフィジカルな感覚を大事にしています。今でもMPCを使っているのも、フィジカルにいろんな操作ができるからなので。

ヘッドホンは、人間の感覚を拡張するウェアラブルデバイス

もはやスマートウォッチが珍しいものではなくなったように、ウェアラブルデバイスは私たちの生活にすっかり馴染み始めています。最近では「次はARグラスの波が来る?」なんて声もちらほらと聞こえてきています。

しかし、そんな今だからこそ、ヘッドホンは最も身近なウェアラブルデバイスといえそうです。それまで不可能だった距離と解像度で音楽を楽しめるデバイスとして、そしてたった一人でもミュージシャンが演奏するライブ会場やスタジオにワープできるデバイスとして、ヘッドホンは長年親しまれてきました。

そんな定番ガジェットであるヘッドホンも、ここに来て新たな役割を期待されるようになりました。その理由はもちろん、コロナ禍を通して変化した私たちのライフスタイルにあります。

音楽や映画のストリーミングサービスの普及と相まって私たちはおうち時間の豊かさを見直しました。さらには自宅にいながら世界中のオンラインライブが楽しめるようになり、同時にビデオ会議ソフトを通して世界中とコミュニケーションができるようになりました。

「HL7BT」はそんな現代のライフスタイルに最適化されたプロダクトです。軽量かつ装着感に優れた設計は長時間つけっぱなしでも快適なリスニング環境を実現しています。開放型特有の抜けのあるサウンドは聴き疲れを防ぐばかりか、ビームフォーミングマイクとの組み合わせによってストレスない通話が可能となっています。

STUTSさんが「つけてることを忘れてしまいそう」と話すこのヘッドホンは、自宅でリラックスしながらも世界中のあらゆるコンテンツや人々と繋がることができる、人の可能性を拡張するウェアラブルデバイスではないでしょうか。

Source: オーディオテクニカ

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