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新しい「AirPods」はここが進化した!「AirPods Pro」との違いは?

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(写真:PHILE WEB)

新しい「AirPods」はここが進化した!「AirPods Pro」との違いは?

アップルが第3世代の「AirPods」を発表した。10月26日に発売されるこの新AirPodsの仕様や、Apple Musicの音声コントロールに特化した「Voiceプラン」の特徴など、現時点で取材によってわかったことをレポートしたい。上位モデルから良い点を踏襲、まだ物足りない点も■新旧AirPods、上位AirPods Proとの違いを比較してみる新しいAirPodsは、ノイズキャンセリング機能を搭載しない開放型ハウジングの完全ワイヤレスイヤホンだ。同じカテゴリーに区分けされる完全ワイヤレスイヤホンは、AirPodsに比べてずっと安価なものから、より多くの機能を搭載する製品などが既に沢山ある。アップルが設定した23,800円(税込)という価格は相当強気であるようにも思えるが、アップル独自の「空間オーディオ」による立体音楽体験に加えて、無印のAirPodsとして初めてダイナミック・ヘッドトラッキングにも対応したことが付加価値になる。また完全ワイヤレスイヤホンとしては珍しく、本体だけでなく充電ケースもIPX4等級の防滴防汗対応になった。口径サイズなどは明らかにされていないが、空気の通り道となるベンチレーションポートをトップ側に設けた開放型のハウジングには、アップルが本機のため新規に設計を起こしたダイナミック型のAppleドライバーが搭載されている。イヤーピースは装着しない “耳乗せ型” のインナーイヤホンだ。筆者の周囲にはイヤーピースを耳栓とするカナル型のイヤホンが苦手という方も大勢いるので、インナーイヤータイプのAirPodsが進化しながらラインナップに残ったことで安堵されたのではないだろうか。なお第2世代のAirPodsはワイヤレス充電に対応しないケースのモデルがエントリー機として16,800円(税込)で販売を継続する。新しいAirPodsはAirPods Proに本体、充電ケースのデザインがより近い印象を受ける。ステムは第2世代のAirPodsよりも尺が1/3ほど短くなっている。エッジに丸みを加えてソフトなルックスになった。耳に装着した状態で聴こえるサウンドを常にベストな状態に合わせ込む「アダプティブイコライゼーション」をAirPods Proと同様に搭載する。本機能は筐体の内部に搭載するマイクが耳内のアコースティック環境を定期的にセンシングして、リスニングコンディションを最適化するというもので、アップル独自開発のSiP(システムインパッケージ)であるApple H1チップのパワフルな解析処理能力を活かしたコンピュテーショナルオーディオ系の機能のひとつだ。解析をどれぐらいの頻度で行っているのかなどディテールも公表されていないが、あくまで解析を行っているのは耳の中の音響コンディションのみであり、外部の環境音によって音の聴こえ方は影響を受けないようだ。参考までに、グーグルの「Google Pixel Buds A-Series」が搭載する似た名前の「アダプティブサウンド機能」は、周囲の騒音レベルを解析して、リスニング中のオーディオのボリュームを自動調整する。■注目の新機能。追加して欲しかったあの機能新しく搭載された「肌検出センサー」はイヤホンの着脱自動検出に使う。AirPods Proが搭載するデュアル光学センサーによる着脱検知の場合、イヤホンが触れている物体が「何なのか」が判別できないため、例えばイヤホンをケースに入れてポケットにしまっていたり、バッグの中に露出してしまっている際にセンサーが誤認識して音楽を再生しつづけてしまう場合がある。肌検出センサーは複数の波長帯を同時に計測することにより、人間の肌に含まれる波長を正確に検出。AirPodsが人間の耳に装着されていることをより正確に検知する。AirPods Proとの違いをANC機能のほかにも見ていくと、新しいAirPodsには外部音取り込み機能もない。開放型のハウジングなので、音楽リスニング中にどれぐらい環境音が抜けて聞こえてくるのかは実機を試してみないとわからないが、歩いたり、スポーツで体を動かしながら音楽を聴く場面を考えると外部音取り込み機能も欲しかった。バッテリーの持ちはAirPods Proが1回のフル充電から約4.5時間、新しいAirPodsは約6時間に伸びた。第2世代のAirPodsは約5時間だ。ケースによる充電を繰り返せば最大約30時間まで再度充電しないまま使える。なお新しいAirPodsの充電ケースは昨年発売されたMagSafe充電器に対応している。この機にAirPods Proの充電ケースもまたMagSafe対応になるようだ。AirPods Proと同様、ステムに搭載する感圧センサーを押し込むタイプのリモコンが新しいAirPodsにも搭載された。筆者はこれをAirPods Proで多用しているので歓迎したいと思う。ただ「音量のアップダウン」が相変わらずAirPods本体のリモコンから操作できない。Apple Watchユーザーである筆者はウォッチのデジタルクラウンでなんとかしてしまうので大丈夫なのだが、他社の完全ワイヤレスイヤホンにはわりと多く搭載されている機能なので、AirPodsも設定変更により選択できるようにしてもいいと思うのだが。ほかにもiOS 15からFaceTimeによる通話音声が空間オーディオ対応になることから、AirPodsによる音声通話のクオリティがアップするようだ。こちらは新旧AirPodsどうしでも違いが出るのかなど、また実機で試したことをあらためて報告したいと思う。■Apple Musicの「Voiceプラン」はどんなサービスなのか「Voiceプラン」は月額480円で提供されるApple Musicの新しいサービス。秋のスタートが予告されている。無料のトライアルを申し込む段階からSiriに「Hey Siri、Apple Music Voiceのお試しを開始して」と話しかけて始められる。アップル以外のデバイスでは利用できないので、とにかく「Siriによる音声操作に特化」したサービスだと言える。先に言ってしまうと、既にApple Musicの個人(学生)/ファミリープランを利用している方はSiriを使って同じことができるので、毎月の利用料金を節約することを考えていなければ別途Voiceプランについて思いを巡らせる必要はない。むしろVoiceプランにはドルビーアトモスの空間オーディオやロスレス音源の再生ができなかったり、様々な制約がある。一番の違いはVoiceプランの場合、iPhoneやiPadでテキストをタイピングして曲を検索することはできても、タップして再生ができない。再生の段階で必ずSiriに音声操作でリクエストする必要がある。では検索して見つけた楽曲やアルバム、プレイリストをどう音声操作によりリクエストすればよいのか。例えば「コールドプレイの新曲をかけて」「Apple Music Oneをかけて」といった具合に、画面に音声コマンドのテキストが表示されるので、これを読み上げれば上手く操作できるという理屈だ。ただ、このアプリの手引きがない状態だと、例えばクラシックの楽曲、映画のサントラなどはSiriによる操作だけで意中の楽曲を見つけて再生するのは至難の業だろう。Voiceプランは「iPhone、iPadを持っているけれど外出先ではあまりApple Musicを使わない、けれども自宅ではHomePod miniやHomePodを使って、あるいは車の中ではCarPlayを使ってSiriによる音声操作でApple Musicを楽しみたい」という方のためのサービスであると位置付けられるだろうか。

山本 敦

最終更新:PHILE WEB
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